憧れだった少し古い世代の輸入車を、中古で購入した時のことです。車両の状態は非常に良好で、エンジンも快調、内装も前オーナーの愛情が感じられる素晴らしい一台でした。しかし、納車の日に渡された鍵は、年季の入ったメインキーがたったの一本だけ。スマートキーではなく、鍵を差し込んで回すタイプのものでしたが、すでに持ち手のプラスチック部分には亀裂が入っており、いつ壊れてもおかしくない状態でした。中古車市場では、予備の鍵が失われているケースは決して珍しくありませんが、これから始まる愛車との生活を考えると、一本しかないという現状はあまりにも心許ないものでした。 そこで私は、納車されたその足で車の鍵作成を依頼することにしました。ディーラーに相談したところ、本国からの取り寄せになるため三週間かかると言われ、費用も数万円。なにより、今ある一本がその間に壊れたらと思うと、悠長に待ってはいられませんでした。そこで、輸入車のイモビライザー登録に強いと評判の鍵専門業者を訪ねることにしたのです。作業場に到着すると、技師の方は手際よく鍵のチップ情報をスキャンし、さらに複雑な溝を持つ鍵の形状をコンピュータで解析し始めました。私が驚いたのは、最新の機材を駆使しながらも、最後は肉眼で微細なバリを確認し、ヤスリで整えるという職人的な丁寧さでした。 作業中、技師の方からは中古車の鍵にまつわる興味深い話をたくさん聞くことができました。前のオーナーが合鍵をどこかで作っていた場合、車両のコンピュータにはその情報が残っており、セキュリティ上の懸念があること。そして、今回新しく車の鍵作成を行う際に、古い登録情報をリセットし、今手元にある鍵だけが有効になるように設定し直すことができるということでした。これは中古車オーナーにとって、単なる予備の確保以上の、大きな安心に繋がる提案でした。デジタルな書き換え作業によって、私の車は名実ともに私だけのものになったような気がしました。 一時間も経たないうちに、純正品と見紛うばかりの新しい鍵が完成しました。新しい鍵を差し込み、スムーズにエンジンが始動した時の感触は、これから始まるドライブへの期待を確かなものにしてくれました。費用はディーラーの半額程度で済み、何よりその場ですべてが完結したスピード感に満足しました。中古車を購入するということは、前の持ち主の歴史を受け継ぐことでもありますが、鍵を新しく作成するという行為は、自分と愛車の新しい物語を始めるための、一つの儀式のようなものだったのかもしれません。もし今、中古車を買って鍵が一本しかないという不安を抱えている人がいるなら、迷わず新しく鍵を作ることを勧めます。それは、安心という名の最も価値あるオプションパーツなのですから。
中古車を購入して鍵を新しく作成した記録