玄関の鍵が最近なんとなく回りにくい、あるいは抜き差しがスムーズにいかないと感じたことはありませんか。鍵を回す時に特定の角度で引っかかる、異音がするといった症状も、錠前が発しているメンテナンスを求めるサインかもしれません。錠前も機械製品の一種であり、日々の手入れをすることで、より長く快適に使い続けることができます。多くの人がやりがちな間違いが、鍵の動きを良くしようとして市販の潤滑油やサラダ油などを鍵穴に注入してしまうことです。これは絶対に避けるべき行為です。油分は時間と共に内部で固まったり、埃やゴミを吸着して固着させたりして、かえって症状を悪化させる原因となります。最悪の場合、シリンダー内部の精密な部品が故障し、錠前ごと交換しなければならなくなります。では、どうすれば良いのでしょうか。まず試してほしいのが、鍵穴の掃除です。掃除機のノズルを鍵穴に当てて、内部の細かいゴミや埃を吸い出すだけでも、動きが改善されることがあります。それでも改善しない場合は、錠前専用に作られた潤滑剤を使用しましょう。これは速乾性があり、油分を含まないパウダースプレータイプのものが最適です。鍵穴に軽く一吹きし、その後、鍵を何度か抜き差しして内部に馴染ませます。この時、鍵自体の汚れも綺麗に拭き取っておくとより効果的です。歯ブラシなどを使って、鍵の溝に溜まった汚れをかき出しましょう。また、意外と見落としがちなのがドアの側面にあるラッチボルトやデッドボルトの部分です。この部分の汚れも布で拭き取ることで、施錠・解錠がスムーズになります。このような簡単な手入れを半年に一度でも行うだけで、錠前の寿命は大きく変わります。毎日の安心を守ってくれる大切な錠前だからこそ、少しの気遣いを向けてあげることが大切なのです。