鍵をなくした!賃貸で勝手に鍵交換はNGな理由
賃貸住宅で生活している中で、もし鍵を紛失してしまったら、大きな不安と焦りに襲われるでしょう。「防犯のために、すぐにでも鍵を交換したい」と考えるのは当然です。しかし、ここで絶対にやってはいけないのが、大家さんや管理会社に無断で、自分で鍵屋さんを呼んで「勝手に鍵を交換する」ことです。この行為は、善意からであったとしても、賃貸借契約における重大なルール違反となり、深刻なトラブルに発展する可能性があります。その理由は主に三つあります。第一に、ドアや鍵は入居者の所有物ではなく、大家さんの大切な「資産」であるという点です。その資産に、許可なく変更を加えることは認められていません。第二に、大家さんや管理会社は、火災や水漏れといった緊急事態が発生した際に、入居者の安否確認や被害拡大を防ぐため、保管しているマスターキーや合鍵で部屋に立ち入る権利と義務を持っています。もし、入居者が勝手に鍵を交換してしまうと、この緊急時の対応ができなくなり、建物全体の安全を脅かす事態になりかねません。第三に、賃貸借契約書には、通常「建物の改造や模様替えには貸主の承諾が必要」といった趣旨の条項が含まれており、無断での鍵交換はこの契約条項に違反します。では、鍵を紛失した場合はどうすればよいのでしょうか。正解はただ一つ、「速やかに大家さんまたは管理会社に連絡し、指示を仰ぐ」ことです。状況を正直に報告すれば、管理会社が提携している鍵業者を手配してくれたり、鍵交換の手順を指示してくれたりします。交換費用は紛失した入居者の自己負担となるのが一般的ですが、この正しい手順を踏むことが、契約を守り、大家さんとの信頼関係を維持するために不可欠です。焦る気持ちはわかりますが、まずは報告・連絡・相談。これが賃貸住宅における鉄則です。