スペアキーが欲しいと思った時、最も身近で手軽な選択肢として思い浮かぶのが、近所のホームセンターの合鍵コーナーでしょう。しかし、いざ自分の鍵を持って行くと、「すみません、この鍵はうちでは作れません」と、あっさり断られてしまった。そんな経験をしたことがある方も少なくないはずです。なぜ、ホームのセンターでは合鍵作製を断られてしまうことがあるのでしょうか。その理由は、ホームセンターが対応できる鍵の種類と、その設備やスタッフの専門性に限界があるからです。ホームセンターの合鍵コーナーが、安価でスピーディーにサービスを提供できるのは、その対象を「最も一般的で、構造がシンプルな鍵」に絞り込んでいるためです。具体的には、昔ながらの、片側あるいは両側がギザギザした形状の住宅の鍵や、ロッカー、机の引き出しといった簡易な鍵です。これらの鍵は、比較的安価な汎用のキーマシンを使い、簡単なマニュアル操作で複製することが可能です。しかし、以下のような鍵は、ホームセンターでは対応することができません。第一に、前述の「ディンプルキー」です。複雑な形状を再現するための専用の高精度なキーマシンがないため、物理的に作製不可能です。第二に、「特殊な形状の鍵」です。自動車の鍵の中でも、波のような形状に削られた「ウェーブキー」や、特殊な外国製の鍵などは、対応するブランクキー(元の鍵)の在庫がなかったり、複製するための機械がなかったりします。第三に、「著しく摩耗、あるいは変形した鍵」です。元となる鍵の状態が悪すぎると、それを元にコピーを作っても、精度の低い、正常に使えない合鍵が出来上がってしまいます。トラブルを避けるため、多くのホームセンターでは、状態の悪い鍵の複製を断る規定になっています。このように、ホームセンターで断られるのは、決して意地悪ではなく、その店舗の能力と責任の範囲を超えているためなのです。もし断られてしまった場合は、無理にお願いするのではなく、専門の鍵屋に相談するのが、確実な解決への近道となります。
ホームセンターで合鍵作製を断られる理由